心が疲れてしまって、何もやる気が起きない。
ただただ時間が過ぎていくのを感じるだけ…。
そんな風に感じることがありますよね。
私自身も同じような経験があり、そんな中で、アニメはほんの少しの光や、心を休める時間を与えてくれる存在でした。
この記事では、同じように心が疲れてしまったあなたへ、私がうつ病のときに実際に見て良かったと感じたアニメ作品や、作品を選ぶ際に大切にしていたこと、そしてアニメを見ることで感じられた私なりの効果についてお伝えしたいと思います。
【体験談】うつ病のとき、私を支えてくれたおすすめアニメ
ここでは、実際に私がうつ病でつらかった時期に見て、心が少し楽になったり、癒やされたりしたアニメ作品をご紹介します。
どれも複数回視聴した作品です。
『聖女の魔力は万能です』
主人公が聖女として異世界に召喚されるアニメです。物語は、派手な戦闘シーンよりも、彼女が異世界で送る穏やかな日常を中心に描いています。刺激的な展開を求める方には少し物足りなく感じるかもしれませんが、心が疲弊していた私には、その優しくて落ち着いた雰囲気が本当にちょうど良かったです。ほんのりとした恋愛要素もあって、見ていると心がほっこりしました。
『異世界のんびり農家』
異世界に転生した主人公が、何もない場所から農業を始め、仲間たちと共に村を作り上げていくお話です。タイトルの「のんびり」という言葉通り、目立った戦闘や大きな事件はほとんどなく、村が少しずつ豊かに、そして賑やかになっていく様子を穏やかな気持ちで見守ることができました。女性の移住者が多く、いわゆるハーレム的な要素もありますが、それも含めてストレスを感じさせない、優しい世界観が魅力です。
『とんでもスキルで異世界放浪メシ』
現代日本のスーパーの商品をネット経由で取り寄せられる「ネットスーパー」というスキルを持って異世界に召喚された主人公が、伝説の魔獣たちと気ままな旅をする物語です。主人公が日本の食材や調味料を使って作る料理を、魔獣や異世界の人々が「美味しい!」と喜んで食べる姿は、見ているこちらまでなんだか嬉しくなり、心が満たされるような温かい気持ちになりました。海外の方が日本の料理を食べるリアクション動画を見るのが好きな方なら、きっと同じように楽しめると思います。
『神たちに拾われた男』
この作品は、登場人物のほとんどが良い人で、本当に優しい世界が広がっています。主人公は実はとても強いのですが、その力をひけらかすことなく、常に謙虚で誠実な姿勢で生きていきます。冒険者として活動したり、新しいビジネスを始めたりと色々挑戦しますが、全体的にはゆったりとしたスローライフな雰囲気が漂っていて、その穏やかさが疲れた心にじんわりと染み渡りました。
『異世界薬局』
現代日本の優秀な薬学者が、異世界の宮廷薬師の息子に転生する物語です。彼は前世の薬学知識と異世界の魔法を融合させ、これまで治療が難しかった病気や怪我に苦しむ人々を次々と救っていきます。主人公が知識を駆使して問題を解決していく姿は見ていて頼もしく、また、救われた人々の笑顔に心が温まりました。難しい医療の話も分かりやすく描かれているので、私自身は特に頭を使わずに見ていたのですが、なんだか見ているだけで少し賢くなったような気分にさせてくれるのも、ちょっとした嬉しいポイントでしたね。
『転生貴族の異世界冒険録 ~自重を知らない神々の使徒~』
通り魔から人々をかばって命を落とした主人公が、貴族の三男として異世界に転生。神々からとてつもない規格外の加護を受けて大活躍するお話です。主人公がその圧倒的な力と持ち前の優しさで、どんな困難も爽快に解決していくので、見ていて本当に気持ちが良かったです。コメディ要素も多く、気分が沈んでいる時でもストーリーにすっと入り込めて、少し元気をもらえました。まさに「また何かやっちゃいました?」という言葉がぴったりの、痛快さが魅力の作品です。
『ポーション頼みで生き延びます!』
神様の不手際で命を落としてしまった主人公カオルが、若返って異世界へ転生する際、思った通りの効果のポーションを自由に作れるチート能力を授かります。彼女はその能力と現代知識、そして持ち前の機転とコミュニケーション能力を駆使して、異世界をたくましく、そして時にはコミカルに渡り歩いていきます。「これがあれば大丈夫!」と思えるような万能なポーションと、それを活かした柔軟な発想で困難を乗り越えていく姿は、見ていてとても楽しかったですし、何でもありな展開にクスッとさせられました。
『八男って、それはないでしょう!』
現代日本のサラリーマンだった主人公が、貧乏貴族の八男という、最初は恵まれない立場で異世界に転生します。しかし、魔法の才能に恵まれた彼が、持ち前の努力と機転、そして人との出会いを大切にしながら、少しずつ自分の居場所と成功を掴んでいく姿は、見ていて本当に勇気づけられました。「自分も何か小さなことからでも…」と、ほんの少しだけ前向きな気持ちにさせてくれるような、成り上がりストーリーの魅力が詰まった作品です。
他にもある!心が疲れた時に寄り添ってくれるアニメのジャンル例
私が実際に繰り返し見た作品以外にも、心が疲れている時に比較的見やすいかな、と感じるアニメのジャンルがいくつかあります。もし「何か見たいけど、何を選んだらいいか分からない…」という時に、少しでも参考になれば嬉しいです。
日常系アニメ
大きな事件やハラハラするような展開がほとんどなく、登場人物たちの本当に何気ない毎日が描かれている作品が多いですよね。私にとっては、その「何も起こらない安心感」がとても心地よくて、ただぼーっと眺めているだけで心が和んで、穏やかな気持ちになれました。現実の刺激から少し離れたいとき、特におすすめしたいジャンルです。見終わった後に「今日も一日、穏やかだったな」と、登場人物たちと一緒に感じられるような、そんな優しさがあります。
癒やし系・動物系アニメ
見ているだけで顔がほころんでしまうような、可愛らしい動物やキャラクターがたくさん出てきたり、息をのむほど美しい自然の風景が丁寧に描かれていたりする作品が多いですね。私の場合、言葉ではうまく表現できないような安心感を、こうしたアニメの映像や音からたくさんもらいました。難しいことを考えずに、ただただ「可愛いなぁ」「綺麗だなぁ」と感じられる時間が、心を少し休ませてくれたように思います。思考がぐるぐるして疲れてしまった頭を、そっと撫でてくれるような感覚でした。
ほのぼのコメディ
大爆笑するというよりは、登場人物たちのやり取りやちょっとした出来事に、思わずクスッと微笑んでしまうような、優しくて温かいユーモアに溢れた作品が多いですよね。無理に笑わせようとしていない、その自然な雰囲気が、私にはとても心地よかったです。感情が平坦になりがちな時でも、こうした作品に触れると、ほんの少し心が動いて、気持ちが軽くなるのを感じました。「笑う」ということを、優しく思い出させてくれるようなジャンルです。
グルメ系アニメ(穏やかな雰囲気のもの)
見ているだけでお腹が空いてきそうな、美味しそうな料理がたくさん登場して、それを登場人物たちが本当に幸せそうに食べる様子が描かれている作品です。食欲がなかったり、食べることにあまり楽しみを感じられなかったりする時期でも、こうしたアニメを見ると、不思議と「ちょっと何か食べてみようかな」という気持ちになったり、「食べるって本来楽しいことだったな」と思い出させてくれたりしました。特に、穏やかな雰囲気で、人と一緒に食事をする温かさが描かれている作品は、見ているだけで心も満たされるような気がします。
【選び方】うつ病のときにアニメを選ぶ上で大切にしていたこと
心がデリケートになっている時は、作品選びも慎重になります。私が意識していたのは、以下の3つのポイントです。
心が疲れない、優しい作品を選ぶ
- 暴力的なシーンや、見ていて辛くなるような残酷な描写が少ないもの。
- 登場人物がひどい目に遭い続けるような、救いのない話は避ける。
- 全体的に穏やかな雰囲気で、安心して見ていられる世界観の作品。
- できれば、ハッピーエンドや前向きな気持ちになれる結末のもの。
短時間で区切れるものを選ぶ
- 1話が20~30分程度で終わるテレビアニメ。
- 数分で終わるショートアニメ。
- 長編映画のように、長時間集中しなくてはいけないものは避ける。
「今日は1話だけ」と、気軽に見始められるものが良かったです。
無理に「何かを得よう」としない
- 「感動しなきゃ」「何かを学ばなきゃ」と気負わない。
- ただぼーっと画面を眺めているだけでも、時間が過ぎていくのを受け入れる。
面白くなかったら途中で見るのをやめてもいい、くらいの軽い気持ちで。
なぜアニメがいいの?うつ病のときに私が感じたアニメの力
「何もやる気が起きないのに、アニメなんて見られるの?」と思われるかもしれません。
でも、私にとってはアニメだからこそ、少しだけ心が動くきっかけになったことがありました。
何もしたくない時の、ささやかな「できた」体験
うつ病の時は、本当に些細なことでも「できた」と感じることが難しくなりますよね。そんな中で、アニメを1話見終わるというのは、私にとって小さな「達成感」を得られる貴重な体験でした。
- 30分弱という短い時間で区切りがつく
- ただ画面を眺めているだけでも物語が進んでいく
- 見終わった後に「今日はアニメを1本見られた」と、ほんの少しだけ自分を肯定できる
この小さな達成感が、ほんの少しだけ自己肯定感を支えてくれたように思います。
安心できる世界への避難場所
現実がつらく感じるとき、安心できる場所に逃げ込みたくなるものです。
私にとって、それが好きなアニメの世界でした。
不思議なもので、結末がわかっているお気に入りのアニメを何度も見てしまうことがよくありました。
- 先の展開が読めることで、ハラハラせずにリラックスして見られる
- 好きなキャラクターや世界観に浸ることで、現実のつらさを一時的に忘れられる
- 「この世界は優しいな」と感じられる作品は、心の避難場所になってくれました
何度も同じアニメを見るのは、その安心感を求めていたからかもしれません。
無理なく感情を少しだけ取り戻す
うつ病の時は、喜怒哀楽といった感情が乏しくなりがちです。でも、アニメを見ていると、ふとした瞬間にクスッと笑えたり、ほんの少しだけ胸が温かくなったりすることがありました。
無理に感情を動かそうとしなくても、物語に触れることで自然と心が反応する。それは、私にとって感情のストレッチのようなものだったのかもしれません。
【注意点】うつ病の時に見るのを控えた方が良いアニメの特徴
逆に、心が弱っている時には避けた方が良いと感じたアニメの特徴もあります。
- 過度な暴力描写や残酷なシーンが多い
- 絶望的で救いのないストーリー展開
- 登場人物がひたすら不幸な目に遭い続ける
- 人間関係がドロドロしていて、見ていて精神的に疲れる
- ストーリーが複雑すぎたり、情報量が多すぎたりして頭を使う
- ホラーやサスペンスなど、恐怖や不安を煽るもの
もちろん、これはあくまで私の経験なので、人によっては大丈夫な場合もあると思います。
おわりに:アニメとの上手な付き合い方
うつ病の時は、本当に何もできなくて当然です。アニメを見ることすら負担に感じる日もあるでしょう。そんな時は、無理をしないでくださいね。
もし、少しだけ何かを見てみようかなという気持ちになったら、この記事で紹介したような作品や選び方を参考に、あなたの心にそっと寄り添ってくれるようなアニメを探してみてください。
アニメは治療薬ではありませんが、つらい日々の中で、ほんの少しでも心が休まる時間や、小さな楽しみを見つけるための一つの手段にはなるかもしれません。
この記事が、少しでもあなたの心の助けになれば幸いです。